Several prose poems
いくつかの散文詩
午前10時の記憶生成...Memory Generation at 10 A.M.

1歳児が床で手足をバタバタさせていた。3歳の姉がアナ雪のドレスを着て「わたしドレスがすきなのよ」と言った。誰も興味のない地方都市のミニ交差点で、未来派みたいな黒い3Dの立体屋根を付けた主婦が自転車で走り去る。今日はスイカ、いくらかなとおれは思い、スマホの音楽を爆音にした。それは自作の電波ソングだけど、ポップでなかなか悪くないと思ってる。ソラの生成ボタンを押すと、ネオンライトの湯船の美少女がノスタルジアの狂詩人みたいな蝋燭を持って微笑む日本旅館。湯は夜、明滅するは気の遠くなる無音の青紫、そういえば、雪の原野で炎を燃え上がらせた、あの映像、どうしたっけ。目の前の1歳児は丸刈りで、にこにこと微笑みながら青いプラスチックのトラックを持っておれの前を通り過ぎる。
USBメモリの中で薔薇が燃えた話....The Rose That Burned Inside a USB Drive

バナナの中で大手拓次が、香水を調香してる。その裏でドンキーコングが妖精たちに樽を投げてる。ぼくは宇宙の彗星が落としたアンビエント大全集のUSBメモリ、タイの空港で売ってたのと似てたんだけど、それを拓次にあげたよ。彼は薔薇のパフュームと共に煙になった。そのとき、収束してない波動関数のデロリアンが、カルピスの瓶から炎と硝煙とVRゴーグルと共に銭湯の番台に急カーブした。
夢召喚とハイエース...Dream Summon & HiAce

おれは夢の中で夢を見ていることに気づいた。なら、女性を召喚しようと思った。夢の中だもん、いいじゃんね。ここはどうやら無人の工場みたいな所。だれもおらへん。金属片がコンクリに落ちとるだけや。空が青空やけど、何か恐ろしいというか、不穏。どっかに墓があるのでは?ここが、工事現場の墓なのか?廃墟みたい。あ、おれが想像した女子?登場。水道のとこにいる。あれ?男子では?変性男子?変性女子?なんや、けったいやな。黒ジャージ着て、眼鏡かけて、ほほ笑んどる。誰なん? おれは、なるべくかわいい子を召喚したかったけど。おれの夢の中だよ?あの子誰?知らないけど、灰野敬二みたいなロングヘアだな。男なのかも。でも、女子かも。わからん。 どうしよう、話しかけようかと思ったら、坂の下から2台のハイエース。なんで?このタイミングで?おれの夢なのに。制御不能か? 誰か車に、乗ってる。 おれはなんとなくその場を離れた。 彼(または彼女)に愛想笑いしながら…
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